留学生が日本のホテル・旅館で働くには

2020年5月28日(木)

 ホテルや旅館などの宿泊業において、もともと外国語のスキルを持っている外国人労働者の雇用は人手不足を解消する方法の1つとなっています。
都心だけでなく地方を訪れる外国人観光客も増えている昨今、外国語を喋れる日本人を探すよりももともと話すことができ、かつ一定レベルの日本語を修めている外国人を雇い入れる企業が増えていますので、積極的に応募してみてください。
 
 外国から日本に留学に来てアルバイトや就職をする際に気を付けなければいけないポイントは、何と言っても「在留資格・ビザ」です。留学生として働くのか、卒業してから働くのかによって必要な在留資格は異なります。ホテルや旅館のスタッフとして働く場合、在留資格の内容と仕事内容が違うと、雇用者も被雇用者も罰せられてしまうので十分に気を付けましょう。

 
 
留学生として働く
 外国人留学生の日本での活動目的は、原則として学習や研究のための“留学”であり、在留資格「留学」では就労はできません。
ですので、アルバイトをするには「資格外活動の許可」を受ける必要があります。許可を受けずにアルバイトをすると、罰則を科せられ退去強制の対象となりますので、必ず資格外許可を取得してから仕事を始めましょう。
 次に気を付けたいのが就労時間です。
留学生は、学校のある時期は週28時間以内、夏休みなどの「学則による長期休業期間」は1日8時間(上限は週40時間)までとされています。これは“合計の労働時間”が週28時間(長期休暇中は週40時間)までなので、アルバイトを掛け持ちする場合は時間の超過に注意しましょう。
 
未経験で宿泊施設でのアルバイトを希望する場合は、「ホテル業界未経験でも就職できる仕事とは?」で紹介した仕事を参考にしてみてください。
 

専門的なスキルを必要とする正社員として働く
 外国語でのフロント業務、ホテルの経営に携わる役職や管理者、総務・経理などの事務仕事など、業務に専門的なスキルや知識、または豊富な経験を必要とする仕事を任せる正社員として雇用するには、「技術・人文知識・国際業務」という在留資格が必要です。
この場合、就労時間や報酬は日本人が従事する場合と同等となります。
大学、専門学校などでホテル・旅館で仕事をするための勉強し、日本で働く場合はこちらのビザを取得しましょう。
ちなみに、在留資格「技術・人文知識・国際業務」では単純業務のみの業務への従事や、履修したことに関連しない仕事へ就くことが認められていません。例えば、製菓の学校へ行ったのであればホテルの客室清掃に従事できない、ほとんど外国人が訪れないホテルでフロント業務に就くことはできないはなど、専門的なスキルや知識を必要としないものがこれに該当します。

上記のように、「技術・人文知識・国際業務」に当てはまらない場合には、「特定技能」の就業ビザが必要です。フロント業務や接客などの比較的単純な業務、学校で学んだことや経歴と志望する仕事内容が異なる場合などの仕事をしたい場合には、「特定技能」の試験に合格する必要があります。ホテル・旅館では一般社団法人 宿泊業技能試験センターの試験(https://caipt.or.jp/)を受け、合格する必要があります。

 
「家族滞在」ビザで働く
 留学生とは少し違いますが、家族滞在ビザについてもお話ししましょう。
こちらの対象は“長期滞在外国人の扶養を受ける配偶者及び子”となっており、活動範囲は「配偶者または子として行う日常的な活動」なので、就労活動は認められていません。ただし、アルバイトやパート等で収入を得る程度の仕事ならば「資格外活動の許可」を申請することが出来ます。
許可が下りた場合、1週間28時間以内の仕事をすることができますが、「扶養を受ける立場の配偶者または子として行う日常的な活動を疎外しない程度の範囲内」でしか働くことができません。また家族滞在ビザの場合、留学生に許される「学則による長期休業期間は1日8時間(上限は週40時間)まで」という事項の対象外となるため、フルタイムになった場合は改めて資格変更の手続きが必要となります。